畳の成り立ち、日常に根付く畳文化
2021年12月3日にNHK総合で放映された「京コトはじめ」【和のしつらいの原点 京たたみ】からの引用です。
※「京コト+」のコーナーに畳工房ヨシオカが登場しました
番組には、1859年創業の京都の畳屋6代目、高室節生さんが登場
※ 畳工房ヨシオカは明治8年(1875年)創業、吉岡芳憲は5代目
畳はどのように生まれ、発展してきたのか?
京都には神社仏閣や茶室が多く、様々な畳の需要があり、手縫いの畳も作られている。
伝統的な畳は、
- ワラを圧縮して作った畳床
- イグサの茎で編んだ畳表
- 畳縁
の3つの部分からなり、
それぞれに専門の職人が作っている。
(畳工房ヨシオカでは、い草以外(和紙など)の畳表や、わら以外の天然素材を使用した畳床も使用しています)
ぎっしりわらが詰まった床は硬く、天然素材のため隙間が一定ではない。
針が曲がりやすく、真っ直ぐ入れるのには技術が必要。
大きなまち針で畳の縁を固定し、縁の溝やイグサの厚みでできたふくらみをワラや紙を入れることで平にしていく。
畳の一面全て厚みが一定であることが、畳の上での生活に心地よさをもたらす。
畳の補強と装飾のために作られる「縁(へり)」
縁(ヘリ)は畳の補強と装飾のために用いられる。
綿、麻など様々な素材が使われ、現代的なものから古典的なものまで幅広い柄がある。
古くから愛されているのが麻。染料の藍で7回ほど染めている。
昔は麻が主流だった。
藍は虫が嫌うので藍染を使っている。
最も大事なのがすみ(たたみ縁の角)を整える作業。
すみが美しく仕上がると敷き詰めた時に美しい直線が生まれる。
角がきっちり立って見えるように、神経を使う。
京都では人々は畳に何を求めるのか?
京都の人々は、畳特有の感触、香り、縁の柄に意識をむけている。
畳には、特有の感触があり、弾力があり、
部屋に入った時の「足あたり」という言葉を用いる。
「足あたり」とは、足の裏で感じる独特の硬さや柔らかさ。
い草の質や量で違いが生じる。
下の畳表のい草の量は上の1.5倍あり、
触ると、弾力、はね返りが違うし、持ち上げると厚みや重さが違うのがはっきり分かる。
畳表は織物。
上は縦糸に綿糸が 2本使われている。
下は縦糸に麻が4本使われている。
そのため、しっかり打ち込んで量の多いい草を編める。
い草の質でも違いが出る。
国産のい草はしなやかで柔らかいので、それで畳表を作るといい柔らかさになる。
外国産はどうしてもい草をしっかり乾燥させるため、風合いが落ちる。
中継ぎ表
「中継ぎ表」は、い草の先や根を取り除き、中央の良質な部分だけを使った畳表。
「根〜先端」と「先端〜根」を反対向きに並べ、中央で継いでいる。
畳の張り替え
畳は年月が経つと色が褪せ感触が悪くなってしまうので、定期的に張り替える。
部屋の形に寸分違わず収まるように畳を調整する。
畳の敷き方にも様々な決まりがある。
祝儀敷は一般的な式方。
不祝儀敷は葬儀の際に使われる敷き方。
畳の目と同じ方向に歩いて出入りや挨拶をするので、歩きやすく畳が痛みにくい。
畳の形やい草の特性を使いこなし、暮らしてきた、先人たちの知恵。
い草の畳の張り替えは、通常、5年〜10年くらいで行われる。
京都では大切なお客様を招く時に、おもてなしのために表替えをされる方がいる。
特にお茶室の場合、張り替えてすぐは香りが強くお茶の香りの邪魔をしてしまうので、
茶事の数週間前に畳を張り替え、
い草の香りが落ち着くように調整すると調和のとれたいい空間になる。
そこまでの心配りをする。
縁の柄
縁の柄はざっと1000種類以上ある。
畳の縁はスーツのネクタイのようなもの。
空間をどのように演出したいかによって縁の色や柄を変える。
京都では黒が好まれる。
お茶、お花での部屋に使われる畳が多いため。