(有)畳工房ヨシオカ

現代の生活習慣に合わせ顧客の要望に応えるユニークな畳

2021年12月3日にNHK総合で放映された「京コトはじめ」【和のしつらいの原点 京たたみ】からの引用です。
※「京コト+」のコーナーに畳工房ヨシオカが登場しました

京コトはじめ

和洋どちらにも合うインテリア、ハート型の畳、アート畳

現代の生活習慣に合わせ顧客の要望に応えるユニークな畳が京都で作られています。

こちら、ハート型の畳です。可愛らしい畳ですよね。
部屋のアクセントになりそうです。

こちらも畳、部屋に飾ってアートとして楽しむ畳。
肉球、いい手触りです。もちろん敷いて座ることもできます。

和室、洋室、どちらにも合うインテリアとして人気です。

フローリングの部屋が増えている中で、手軽に和の雰囲気を味わいたいということで、
こうした半畳ほどの畳、目でも楽しめるユニークなデザインの畳が注目されています。

今日はこの畳を作っている畳工房にお邪魔しています。

京都府の北部、与謝野町にある明治6年創業の老舗です。

地域の畳屋さんとして、畳の張り替えや修繕などを行ってきた職人歴50年の吉岡芳憲さんです。

大山アナ:なぜこうしたユニークなデザインの畳を作ろうと考えたたのでしょう?

吉岡:時代とともに洋室が増え、畳の和の雰囲気を取り入れたいという話が多くなり、ハートやアートの畳が好まれるようになりました。

こうしたデザイン性のある畳を作るには、長年培われた職人の技が不可欠です。
ハート型の畳は一つ一つ手作業でしか作ることができません。

その作業を見せていただきます。
今行っているのは、ハートのカーブの部分に縁を付けていく作業です。

縁を補強するための厚紙と一緒に塗っていきます。

通常の四角い畳と違い、カーブに縁を美しく貼るにはあえて少しよれた状態で、細かく縫い付けていくんです。
そして、厚紙と縁を一緒に折り返しまして、強く引っ張りますと、よれのない、美しいカーブが出来上がります。

縁は素材によって強度や伸縮性が違い、力を入れすぎると布が伸びてしまって柄が変形してしまいます。
様々な縁の特性を理解した職人だからこそわかる力加減で引っ張って仕上げていくわけなんですね。

さらに、ハートのくぼみのところにご注目ください。

一話の鶴が浮かび上がっていますが、実はこれ、一つの図柄ではなくて、
縁の端と端をつなぎ合わせたものです。
このように、一つの鶴になるように計算して作っていらっしゃるということなんですね。

しかもこのハートの畳、小さいものを組み合わせると、こちら、四葉のクローバーにもなります。
縁起物として置く方もいらっしゃるということです。

鶴の柄、ご覧ください。
並んでピッタリとあっています。お見事ですね。細かいところまで丁寧に仕上げていらっしゃいます。

大山アナ:吉岡さんがこのハートの畳を作ったのは、意外なところからの相談がきっかけだったんだそうですね。

吉岡:はい、はじめはブライダル関係から相談がありまして、新婦さんが和装や洋装の衣装を着替えるのに使われました。
それで、ハートや円形など、縁起の良い畳を作るようになりました。

防災畳

そうしたお客さんの声を形にしている吉岡さん、このような畳も作りました。

一見普通の畳に見えるんですが、持ち上げますと、軽いです。
そしてなんと、折りたたむこともできるんです。
これ、防災用の畳み風のマットなんです。

素材はウレタンですが、表面ご覧ください。
特殊なプレス加工で手触りや見た目は本物の畳そっくりにできています。

大山アナ:吉岡さん、この防災用の畳マットを作られたきっかけはなんでしょうか?

吉岡:東日本大震災がありまして、避難所の人々を見て、畳の暖かさと安心感を届けたいなあと思いまして作りました。

大山アナ:今は京都府や高知県の避難所に備えられているそうなんですけれども、使われた方の反応はいかがでしょうか?

吉岡:体育館に畳のスペースがあると安心するということで、床に置くだけでフロアが暖かい茶の間になるとうけています。

大山アナ:避難所の環境改善はみなさんの思いがありますからね。
吉岡さん、これからどんな畳を作っていきたいですか?

吉岡:これまでの畳の概念に囚われず、お客様のニーズに合った畳、若い方がお家を立てられるので洋風が多いですが、それに合った畳を作っていきたいと思っています。

吉岡:これからのライフスタイルにも溶け込む畳ということですね。ありがとうございました。

以上、ユニークな畳を生み出す工房からお伝えしました。

熟練の職人の技術あってこそできる新しい畳

森田アナ:伝統の技によって新しい畳が生み出されていましたね。篠田さんはどういうふうにご覧になりましたか?

篠田:昔ながらのい草やわらを使ったものもとてもいいものですけれども、ああいう新しい素材を使っていろいろな形にしたりとか、
今は家が立っても一部屋も畳の部屋がないという家もありますので、
そうなると、子供さんや若い方は畳を知らずに育つという方もおられます。
そういう方に、少しでも畳の良さを知ってもらうには、あのような畳も非常に素晴らしいと思います。

森田アナ:ハート方の畳、非常に可愛らしかったですね。
カーブの部分、曲線状に縁を貼っていくというのはかなり難しいのではないですか?

篠田:そうですね。あれは本当に難しい技術ですね。
1回、2回でできるようなものではなくて、何十回と練習してやっと身につく技術ですね。

森田アナ:熟練の職人の方だからこそできる新しい畳なのかもしれませんね。

またあの防災用の畳、素材はウレタンということでしたけれども、やはり、手触りとか見た目が畳であるということが我々に与えてくれる安らぎという点では大きいのでしょうかね。

篠田:そうですね。特にご高齢の方は慣れ親しんだ畳と同じような見た目、触り心地だと、やはり安心感をもたれますので、避難所などで不安な時は畳があれば安心感もすごく増すと思います。

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